2022/06/25 11:00
富山地方鉄道富山港線は、富山駅のJR高架下の新のりばから、終点岩瀬浜駅までおよそ8キロの距離を結んでいますが、その成り立ちは紆余曲折を経たものでした。
その昔は国鉄富山港線で、国鉄富山駅ホームから終点岩瀬浜駅の間を結んでいましたが、1987年の分割民営化によりJR富山港線となりました。
しかし、利用客数は伸び悩み、1~2時間に1本、3両編成のローカル電車が行ったり来たりする閑散線区となり、存廃をかけた路線は2006年、第三セクター鉄道「富山ライトレール」として、低床電車化、一部併用軌道の「市内電車」の運行形態に衣替えし、地域の利便性を考慮して停留所も増設されました。

そして2020年、富山駅JR高架下を、市内電車が南北に直通できる工事の完了とともに、富山ライトレールは富山地方鉄道と合併し、富山地方鉄道富山港線が誕生しました。

写真は、JR高架下の富山駅乗り場から飛び出してきた岩瀬浜行きLRT電車。現在は、15分に1本、昼間は毎時同時刻のわかりやすいダイヤで、乗り降りしやすいキレイな低床電車が行き来しています。
朝夕の時間帯には、沿線の通学生や、通勤客が多く利用し、都心の電車ほどでないにしても、座席はすべて埋まって、立ち客が出るくらいの利用者があります。
起死回生のLRT化が、富山港線を存続させるだけでなく、利便性の高い地域の足に育てたことは言うまでもないでしょう。

最後の写真は、わたしが1992年1月に富山を訪れた際、岩瀬浜まで乗りつぶした時に取った一枚。夕暮れ前、1面1線のさびしい岩瀬浜駅に佇む475系JR普通電車です。現在は、LRTに合った低床ホームになり、きれいな屋根も設置され、停留所前は接続するバスと対面で乗り換えできるロータリーに整備されています。
2022.06.25